勝海舟 修養訓

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石川真理子 著「勝海舟 修養訓」

江戸城無血開城に向けての勝海舟と西郷隆盛の会見は高輪の薩摩屋敷で行われました。
海舟は羽織袴姿で馬上、供はわずか一人です。

近隣は官軍の兵隊で充満しており、それがことごとく殺気を発しているわけですから、どれほどものものしい状況であったかしれません。

海舟が部屋に通され待っていると、ほどなく西郷隆盛が庭先にあらわれました。
古ぼけた洋軍服に下駄をひっかけ、遅刻したことを詫びる様子は、まるで一大事とは思えません。
海舟はここでまず感心しました。
しかも海舟を上座に据え、談判の間ひたすら座を正して畏まったのです。

すでに官軍と称されているにもかかわらず、あくまで海舟を幕府の重臣として敬意を払ったところに、海舟はいたく心を打たれました。
大局に立ち、何もかも見据えたうえでそれを制する手腕を持ちながら、そうした自分を誇示しない。
相手よりも強い立場にあろうと決して無礼な行いに出ない。

海舟が感心しているところからすれば、すでに幕末の当時でさえ、時世に伴い立場が変化すると、たちまち態度を変えるような者が多々見受けられたのでしょう。
しかも、そうした人物ほど見識ぶるところがあった。

これは現代に於いても言えることではないでしょうか。

コメント

  1. 鈴木由紀 より:

    本日土井先生初級セミナーに参加させて頂きました。こうやってセミナーに参加させていただけるのも西田さん、ほなみさん、土井先生のおかげと感謝しております
    今後ともよろしくお願いいたします

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